ウィリアム・アイリッシュ / Willian Irish (1903-1968)


本名 コーネル・ジョージ・ホプリー・ウールリッチ / Cornell-George Hopley-Woolrich
1940年代にアメリカで活躍した推理作家
代表作はアイリッシュ名義の「幻の女」(あの江戸川乱歩も絶賛)
ウールッリッチ名義では「黒衣の花嫁」などのブラック・シリーズが有名
短篇にヒチコックによって映画化された「裏窓」がある

中学校の図書館で少年少女推理全集(?)みたいなシリーズで「幻の女」を読んで、
なんか面白いなあと思ったのが最初の出会い。
(余談だが、このシリーズのおかげでミステリー好きになった)
ミステリー(謎解き)というよりは、サスペンス(雰囲気を楽しむ)の趣向が強い。
そのため、犯人やトリックを推理するといった楽しみはあまりない。
謎が謎のまま残ったり、たまに超自然的な話もあったりする。
ダークな話や鬱な結末が多いかも。ときどき明るい話もあるが。
シリーズものは一切手がけておらず、ブラック・シリーズは、シリーズといいつつも
タイトルが統一されているだけで、内容はすべて独立している。
基本的に短編作家であったらしく、膨大な数の短編が残されている。
長編作品もいくつかあるが、だいたいがオムニバス形式だったり、
短編のモチーフを繋ぎ合わせて作ったような話だったりという傾向がみられる。
もともと短編で発表したものを長編にアレンジしたらしきものもある。

「裏窓」に関しては、映画版も見たが、小説の方が何倍も怖かった。
小説の方を先に読んでいたので、楽しみに映画版を見たのだが、拍子抜け。
下手に映像化するより、頭の中で想像する方が絶対怖いと思う。
特に暗闇の格闘なんてものは。(映画ファンに怒られそう ^^;)
まあ、映画は映画、小説は小説で、面白さは全くの別物ってことなんでしょうね。
他にもドラマ化されたものがある。ちゃんと見たわけではないが、粗筋を読んだ限り
原作とはかけ離れたメロドラマにされてることが多いような気がする。
まあ、原作に忠実にしても一般受けはしなさそうな気がしないでもないが。

文体が難しいので、一度では理解できず、何年かおいて再読してようやくわかった
ということもあったりする。結構大人向けな内容だったりするので、
お子様の頭では難しすぎたということか。(アダルトな訳ではない、念のため ^^;)
とりあえず長編はひととおり読破。短編集は買おうかどうか悩んでいるうちに
全体的な読書量が減ってしまったため、そのままになっていたりする。
(昔は読書が趣味と胸を張って言えたものだが、それも過去の話・・・)

そんなわけで、ちょっと読みやすいとは言いがたい彼の作品ですが、
趣味に合う人ははまるんじゃないかなあと思います。
とりあえず名作といわれる「幻の女」は一読をおすすめします。

主要作品リスト

  • アイリッシュ名義
    幻の女 / phantom lady 代表作
    暗闇へのワルツ / waltz into darkness 切ないです
    暁の死線 / deadline at dawn タイムリミットもの
    死者との結婚 / I married a dead man 難解

  • コーネル・ウールリッチ名義
    黒衣の花嫁 / the bride wore black 復讐劇
    黒いカーテン / the black curtain 記憶喪失もの
    黒いアリバイ / the black alibi 黒豹もの(?)
    黒い天使 / the black angel 濡れ衣もの
    恐怖の冥路 / the black path of fear 濡れ衣もの
    喪服のランデヴー / rendezvous in black 復讐劇
    夜の闇の中へ / into the night(ローレンス・ブロック補綴) 遺作

  • ジョージ・ホプリー名義
    夜は千の目を持つ / night has a thousand eyes 超自然もの

  • その他、短篇が多数
    裏窓 / rear window
    私が死んだ夜

    主に、ハヤカワ文庫や創元推理文庫から出版されています。

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